米ベライゾン、AT&T、Tモバイルが2023年に数万人の雇用を削減
米国の3大モバイルネットワーク事業者が昨年は27,000人を超える人員削減を遂行した。お察しのとおり、AIもその一端を担っている。
AT&T、ベライゾン、TモバイルUSがいずれも2023年度の決算を発表、各社が実施した人員削減の規模が明らかになった。
昨年最も多くの雇用を削減したのがAT&Tだ。2022年末時点の従業員数が16万2,920人、昨年末の時点では15万470人に減っている。削減数としては2022年の約4万人を大幅に下回ったが、同年の削減数が多かったのは大規模な資産削減戦略が取られていたためでもある。
John Stankey(ジョン・スタンキー)CEOは第3四半期の決算発表の際、投資家に対し、AIの活用によって業務コストの効率化を進めていると語った。
「当社では生成AIをまだ利用し始めたばかりですが、すでに生産性の向上とコスト削減で目に見えて成果が出ています。カスタマーサポートのコスト削減、ソフトウェア開発の効率化、ネットワーク設計の向上などで明らかな前進がありました。今後もその時々のコスト削減目標の達成を目指す中で、こうした面でのAI活用が重要になると考えています」
ベライゾンについては、削減数ではAT&Tをやや下回ったものの、従業員全体に占めるパーセンテージでは上回っている。昨年は11,700人を削減、従業員数は105,400人となった。
TモバイルUSの昨年の削減数は正式には4,000人で、従業員数7万1,000人で年度を終えた。とはいえ、同年半ばにも5,000人の人員削減計画を発表、第3四半期に関連費用として4億7,100万ドルを計上している。
同社の経営陣はその際、この費用は(AIのような)新しいテクノロジーによって回収可能であり、財務の改善が見込めると述べている。
「このことに気づいているのは当社だけではありませんが、私たちを取り巻くテクノロジーの風景は急速に変化しています」とCEOのMike Sievert(マイク・シーベルト)氏が語った。「当社は(買収したスプリントの)統合を終え、次の構想を練る時期にあります。新しく利用可能になったテクノロジーを活用、会社を再構築するプランを考える好機だということです。これまでよりも大幅にデータインフォームドを浸透させ、AI対応を進め、デジタルファーストになっていくことが可能になっています」
「私たちのチームは現在、そのことに多くの時間を費やし、関心を注いでいます――個々のお客様に素晴らしい体験を提供し、なおかつ事業効率も高いビジネスモデルをどうやって構築するか。それを再考していますし、当社の目指すところもここにあります」
Tモバイルの人員削減は懸念の種にもなっている。というのも、競合のスプリントの買収が最終的に成立した際、雇用の拡大を約束していたことが支持されたためだ。
「この合併は、質の高い、高収入の雇用を新たに創出することを目的としています。新生Tモバイルは初日から、その後も日々、雇用にプラスの影響を与えていきます」。2019年春、当時CEOのJohn Legere(ジョン・レジェール)氏が企業ブログに書いている。「これは単なる約束ではありません。事実です」
Legere氏はさらに、何がそうした新しい雇用をもたらすのかを述べ、「2024年までに1万1,000人を超える従業員を新たに採用します」と宣言していた。
米国内の新興事業者ディッシュ・ネットワークも雇用削減に動いている。今年初めに地元コロラド州で157名の人員を削減するとの通知を提出。2か月前に同州で499人を削減する計画を提出したばかりだった。
同社の従業員数は約1万4,000人で、約5%の削減に相当する。
Verizon, AT&T, T-Mobile slashed tens-of-thousands of jobs in 2023
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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